small-logo320
small-logo550
Create
Connect
Promote

会員ログイン

Marchio di Ospitalità Italiana

イタリア法・日本法に関する覚書 商取引分野における、イタリアで下された判決の日本での承認及び執行、日本で下された判決のイタリアでの承認及び執行

 頻繁にではないが、例えば、日本製の機械をイタリアで販売するために規定された契約条件に応じないイタリア販売会社、又はイタリアファッションブランドの商標を使用する為の合意済み使用料を支払わない日本人実施権者が時折現れることがある。最良の選択は、紛争が生じた後、協議をし、両者が受容れられる和解条件で紛争解決を図るという方法を採ることである。しかしながら、いつもこの方法で解決が図られるとは限らず、紛争解決の為に法的手段に訴える(即ち司法判断を求める)ことが避けて通れない場合もある。

 国際商取引の慣習としてよく行われることであるが、当事者間で締結した書面による契約書にあらかじめ仲裁による紛争解決を規定している場合、紛争解決及びその後の仲裁判断(仲裁決定)の執行は当該手続きに関する規定に従う(もっとも、仲裁手続きによる場合について、本稿では触れないこととする)。他方、契約書に何れの普通裁判所が裁判管轄を有することを規定している場合、又は何ら規定を設けていない場合、裁判を提起しようとする当事者は――自己の会社の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所と相手方(被告)の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所の双方に訴えを提起する事が出来る場合は、いずれか一つを選択し――普通裁判籍の所在地を管轄する当該裁判所に訴えを提起する必要がある。

 裁判に着手しようとする当事者(原告)は、「本拠地(ホーム)で戦う」傾向があり、契約書又は契約書の準拠法がこれを承認する場合、親しんだ制度に従い、親しんだ言語(母国語)を用いて裁判を行う自国の裁判所に訴えを提起する。もっとも、常にこの方法が正しいかというと、それもまた疑問である。この点ついては、本稿の結論で述べることにする。その一方で、本稿の目的は、イタリアの裁判所で判決が下された場合、日本でこれを承認・執行する場合何か生じるのか、逆に、日本の裁判所で判決が下された場合、イタリアでこれを承認・執行する場合何が生じるのか、前提的な疑問を解くため、手短に比較・検討することである。イタリア法と日本法の比較においてよく生ずるように、二つの法制度は鏡像のように良く似ている。

 それでは本題に入ろう[1]

イタリア及び日本における外国法の承認及び執行

 外国判決を国内の裁判所で承認及び執行するための重要な概念・要素は「相互の保証」である。即ち、ある国で確定した処遇が他方の国でも同様に保証されていること、という意味である。この点について、イタリアと日本の法制度に差異はない。

 1937年10月5日、両国間で、司法共助取極が締結された。かかる取極は第二次世界大戦中停止され、1954年再度締結された(イタリア共和国官報1954年7月28日)。

 イタリア法制度における相互保証の原則は、民法一般条項第16条に規定されている。そして、国際私法(イタリア共和国法1995年218号。以下「イタリア共和国法1995年218号」とする)第2条にも右原則が導入されている。イタリア共和国法1995年218号は、まさにイタリアに関するあらゆる問題の中核となる法律である。イタリア共和国法1995年218号第64条には、特に、当該外国判決の内容の実質的再審査を要することなくこれを承認する為の条件が規定されている。

 第一の条件は、裁判権及び管轄に関するものである。即ち、特定の問題について判決を下した特定の外国裁判所が適法に管轄権を有することを要求する(イタリア共和国法1995年218号第64条A)。

 第二、第三の条件は、イタリア共和国法1995年218号第64条B及びCに規定されている。即ち、通達が適法になされ(B)、被告が応訴したこと(C)を要求する。即ち、憲法で保護されている権利、被告の防御権を保護するという趣旨である。

 第四の条件(1995年218号D)は、判決文に関する条件である。即ち、当該外国判決が下された国の法律において当該外国判決が既判力を有し、もはや不服申し立てによっては争うことができない確定した判決であることを要求する(確定判決)。

 同条の第五及び六の条件(E及びF)は、外国の判決をイタリア国内で承認することが出来ない、除外条件を規定している。即ち、同じ当事者間で同じ訴訟物に関する訴訟について既にイタリアの裁判所から判決が下され、これが確定している場合(E)、又は同じ当事者間で同じ訴訟物に関する訴訟が既にイタリアの裁判所で係属している場合(F)、イタリアにおいて当該外国判決を承認することはできないとする。

 最後の条件(G)は、当該外国判決の内容がこれを実行する国(即ちイタリア)の公序良俗に反する場合、当該外国判決をイタリア国内で承認することは出来ないとする。公序良俗とは、「国家の法規範及びその目的達成に不可欠な政治及び倫理原則を内容とする法規範の一部」(TRECCANI, Enciclopedia)を指す。要するに、判決執行の実務的結果からイタリア共和国の社会倫理に反する又はこれを度外視する行為の形成を認めてはならないのである。

 続いて、外国判決の直接承認を認める日本法制度の分析に移ることにしよう。右制度を知るには、まず民事訴訟について規定した法律(日本民事訴訟法、法1996年9月26日109号)を知っておく必要がある。日本民事訴訟法第118条は、当該外国判決が「終局的で拘束力を有する」判決であること、即ち、判決が確定し、もはや不服申し立てによっては争うことができない確定したものであることを求める。かかる規定内容は、日本民事執行法(法1979年3月30日4号)第24条1項及び3項にも規定されており、さらに同条3項は(日本における)外国判決の承認に際し、裁判の当否を調査することは出来ないとする。

 日本民事執行法第24条3項も規定するように、日本で外国判決を執行するには、日本民事訴訟法第118条の要件を具備していることが必要である。

 日本民事訴訟法第118条は以下の4つの要件を定めている。

 日本民事訴訟法第118条1号は、裁判権及び管轄に関する要件を規定する。右規定は、当該外国判決が下された国において、特定の問題に関して判決を下した特定の(外国)裁判所が適法に管轄権を有していた場合、当該外国判決が承認されるとする。

 日本民事訴訟法第118条2号は、被告の防御権保護の観点から、通達が適法になされたことを求める。敗訴した被告が訴訟の開始に必要な呼出し(送達)を受けていることが必要である。言い換えれば、訴訟手続の開始において、被告が必要期間内に、法律で規定されている方法に従い、訴訟に備え準備することが保障されていたことを要する。もっとも、右条文は、送達がなかった場合であっても、被告が応訴すれば右欠缺は治癒される旨規定している。

 日本民事訴訟法第118条3号は、公序良俗について規定する。当該外国判決の内容が、日本の倫理・社会規範に反する場合、日本でこれを承認し執行することは出来ないとする。解りやすい例として、所謂「懲罰的損害賠償(punitive damages。英米法で認められている制度。民事訴訟において、加害者に懲罰を科し将来の同様の行為を抑止し威嚇することを目的とし、実際の損害の補填としての賠償に加えて上乗せして支払うことを命じる賠償のことをいう)」が挙げられる。かかる判決は、日本の制度に相容れない限り公序に反すると見做される為、日本で執行することは出来ない。日本の損害賠償制度(イタリアのそれと同視出来るものといえる)は、実際に生じた損害に対する経済的及び財産的損害の回復を予定しているのであって、懲罰又威嚇を目的としない。

 日本民事訴訟法第118条4号は、相互の保証を規定している。日本が当該外国判決を承認する為には、当該判決をした外国裁判所の属する国において、全ての法的要件を具備していることを条件に、日本判決に同様の取扱いが保証されていなければならない。

 日本法の枠組みの説明の締めくくりとして、最後の原則(民事訴訟法第142条)の内容を分析することにする。かかる条文によれば、日本国内において同じ当事者間で同じ訴訟物に関する訴訟が既に別の裁判所に係属している場合、これと異なる裁判所で下された判決の効果を主張することは出来ないとする。本条文を忠実に翻訳すると、「裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起する事ができない」という内容となる。この点、右条文の言う「裁判所に係属する事件」とは、日本国内の裁判所を指しているのか、外国の裁判所も含んでいるのか条文上明白に規定されていない。もっとも、日本の判例では、かかる「裁判所」とは国内のそれを示すと解する(大阪地裁中間判決1973年10月9日)。

結論

 序論で述べたように、イタリア及び日本における外国判決の承認及び執行の制度はまるで鏡像のように相似している。イタリア法については、イタリア国内法、主に憲法において、複数の階級に部類され配置転換された多種の基本原則が、イタリア共和国法1995年218号第64条に寄せ集められている。日本法については、国内法である日本民事執行法、日本民事訴訟法に直接規定されている。そして、日本民事執行法は、当該条文が規定する執行の為には、その必要条件として、日本民事訴訟法第118条の条件を満たさなければならないことを明示的に規定する。(既に述べたように、日本法の法源の大部分はイタリア法のそれと同じである)確かに予想外のことではないが、かかる知識の確証から、(いわゆる「forum shopping」が可能である場合に)一方の国で訴訟を提起することも他方の国で訴訟を提起する事も同じであると結論付けねばならないのだろうか。慣れ親しんだ言葉を使用し、制度について精通している地であることから、自己の国で訴訟を提起し、他方の国で執行することに価値はあるのだろうか。我々の経験から見解を述べるとするならば、例外を除き、答えはNoである。

 第一に、他方の国で下された判決を執行する為の手続の枠組みと取扱う内容は限られており、かかる手続きは、訴訟の準備及び様式が要求される司法手続きである。実際のところは、別の裁判所、別の弁護士、別の手続き様式により構成される第二の訴訟である。膨大な翻訳書類を要する。別途時間を要する。追加費用を要し、多くの場合、その費用はそれなりの金額に達することとなる。

 第二に、承認及び執行の原則は、一見論じるのがシンプルなように思えるが難解なものである。特に、外国判決承認に際し、管轄裁判所の判決の「実質的内容」に介入すると規定していないが、実際には、優秀な相手方の弁護士は、かかる諸原則の概念・趣旨から(「公序良俗違反」の原則を考えてみるだけで足りる)外国判決の承認及び執行を――完全に妨害することはないにしても――困難な状態に陥らせる手段を識別するのに然程苦労しないであろう。

 結果として、超過債務(各々の場合、経済的価値の評価は資格を有する専門家にゆだねる必要がある)については、それが可能な場合において、実際に判決が執行されなければならない国に依拠して訴訟を提起するのが最も経済的で有効と考えられる。外国で訴訟を行うことにより生じる最初の関門は、受けた判決の即時効力と時間的・経済的節約という要因をプラスに帳尻合わせることであろう。遠く離れた得体の知れない「エキゾチック」な裁判所を介してではなく、「自分の家の庭」で開始した裁判において、あなたが訴訟に挑み、且つ攻撃されることが、被告に対し、何よりも直接的な威嚇・抑止効果を与えることを忘れてはならない。そして、現に差し迫った脅威を考慮し、自己の立場を再検討し、訴訟進行中に和解による解決に同意するという選択肢について再検討する余地を残しておくべきであろう。

ヴィッラ・アドリアーノ

 

”監修:アドリアーノ・ヴィッラ弁護士、協力:アンドレア・マンジャ氏、小西菜穂子氏、グイド・ブローリョ氏”
(本章で記載されている見解はあくまでも純粋な一般的意見であり、それぞれの職業上の立場から述べたものではなく、パヴィア・アンサルド法律事務所および、筆者は本章の内容には一切の責任を負わないこととする。

 

[1] 参考文献(イタリア語):A.VILLA, FARE AFFARI IN GIAPPONE - Breve guida legale per investire ed operare in Giappone, 2012, pp. 46 ss..

http://www.ambtokyo.esteri.it/NR/rdonlyres/0C3D7CE3-3C1B-4A44-B91F-73932843437D/0/Studio_legale_VillaFare_affari_in_Giappone.pdf.

ICCJ Brands

True Italian Taste

毎月開催の本格イタリアンブッフェ

Joop banner​​

最高級のEXVオリーブオイルを決める国際コンクール

ICCJ Gala Dinner and Concert

一年を締めくくる華やかなパーティー

日本で味わえる本格イタリアンの名店

corsi di italiano

ICCJでイタリア語を学ぶ

ICCJのメーリングリストに登録しませんか?
* *必須記入事項
ICCJのメーリングリストに登録しませんか?
* *必須記入事項