身にまとう伝統:モリーゼの衣装と和服の変遷
7月9日、大阪・関西万博のイタリア館内のオーディトリウムにおいて、「身にまとう伝統:モリーゼの衣装と和服の変遷」と題したセミナーが開催されました。このイベントは、一見遠く離れた世界に見えるモリーゼと日本という二つの文化を、伝統・ アイデンティティ ・ 職人の技 への共通の敬意を通じてつなぐ、魅力的な旅路となりました。
本イベントは、モリーゼ州議会議員のアンジェロ・プリミアーニ氏と著名なテレビタレントである ジローラモ・パンツェッタ氏によるご挨拶で幕を開けました。
衣装博物館の館長であるアントニオ・スカッセッラ氏は、 貴重な当時の写真や民族衣装、伝統的な装飾品を交えて、モリーゼの服飾文化の歴史を視覚的に紹介し、来場者を魅了しました。刺繍や糸、そしてそこに込められた象徴が語る「帰属意識」と「アイデンティティ」 —— そうした世界に触れたあと、日本の伝統文化へと話は広がっていきます。
日本からは、アップサイクルブランドrenacnattaの創業者であり、株式会社Dodiciの代表でもある大河内愛加氏が登壇。「文化を身にまとう」という理念を軸に、古い着物や在庫生地を活用して、ネクタイや現代的な洋服、さらにはウェディングドレスまでも制作する彼女の取り組みは、伝統と革新、そして持続可能性を融合させたものであり、クラフトの価値を現代に再提示するものでした。
その創作は、モリーゼの民族衣装と同様に、ファッションや社会の未来がルーツへの意識と文化の尊重を通じて築かれるべきことを伝えています。
続いては、日本の伝統的な帯の制作を担う職人アサノ・ヒロキ氏が登壇。その実例を通して、優雅さと職人技、そして伝統が新しい形で共存し、過去を裏切ることなく現在に語りかけることのできる新しい形で共存できることの具体的な例を示しました。
セミナーの最後には、イゼルニアのレース協会事務局長のジェラルド・アッバティエッロ氏が登場し、トンボロレースの魅力を紹介。熟練のレース職人による実演も交えながら、「作ること」を通じて語られる物語と集団としての「自分たちらしさ」の重要性をあらためて強調しました。
このセミナーは、服飾や装飾品、そして身にまとう歴史を通じてモリーゼと日本が文化という強くしなやかな糸で結ばれた、心温まる出会いの場となりました。
